せいどういつせいしょうがいのひと。〜ぺけのMtF的生活〜

とある性同一性障害者の、ふつーの毎日

MtFですが、正社員になります

 

みなさん、こんばんは。ぺけです×××

 

わたしは今、とあるIT企業でアルバイトをしています。

 

入社したのは1年半ほど前。憧れていた仕事だったので採用されてとてもうれしかったのを覚えています。

 

合格の電話をもらったとき、採用担当者(今の上司)の方から最後にこう聞かれました。

 

 

「あの…わたくしどもで何か配慮させていただくことはございませんでしょうか?」

 

 

遠回しに「性同一性障害ですよね?」と聞かれているとすぐにわかりました。提出した履歴書には本名を書きました。性別欄にも「男」に丸をつけました。しかし特に男ぶることはせず、そのままのわたしで面接を受けました(メイクはしてなかったかな。服もパンツスタイルで行きました)。

 

でもやっぱり、自分から「性同一性障害です」とは言いづらくて、どうしようかな〜とは思ってたんです。それをわざわざ向こうから切り出してくれたんですよ。言うよりも聞く方がもっとしんどいだろうに。直感で、「この会社は信頼できる」と思いました。そして「実は、性同一性障害で普段は女性として生活してるんです」という旨を話しました。

 

会社に前例はないようでしたが、担当者の方は「できる限り配慮する。何か不安に感じることやつらいことがあったらいつでも言ってくれ」と話してくれました。初出社の日。先に手回しをしていてくれたらしく、特に性同一性障害の説明をさせられることはありませんでした。

 

職場の方はごく自然に接してくれました。ウォーターサーバーの水を取り替えようと水のタンクを持ったら男性職員が声をかけて代わってくれます。1年半経った今でもわたしを女性として扱ってくれています。

 

けれど、他部署の人には色々言ってくる人もいます。会社の女性用トイレに入っているわたしを見た人(わたしが性同一性障害ということを知っている)に「これはどういうことなんだ?」と指摘されたことがありました。

 

それを自分の部署の部長から一対一で聞かされ、「これからは会社のトイレは使わないようにします」としか答えられなかったとき、悔しいのと悲しいのが合わさって思わず泣いてしまったんです。

 

給湯室でひとしきり泣いて、オフィスに戻りました。自分では隠せているつもりだったけど、みんな気づいたようで、後日部長の方に抗議をしてくれたり、「ぺけちゃんは悪くないよ!」と慰めてくれたりしました。今も会社のトイレは使いませんが、その気持ちがとてもうれしく、より会社…というより自分のチームのあたたかさを感じました。

 

そんな会社でこの度、社員として働かせていただけることになったんです。

 

2ヶ月のトレーニング期間を経て、上司からの推薦を得、社長からの承認をいただきました。

 

きっかけは「実家に帰ろうと思っている」と同僚に漏らしたこと。彼氏に振られたり体調を崩したりしていたところにアパートの更新がやって来たのでここらが潮時かな、と思ったんです。そしたら「ぺけちゃんがいなくなると困る!」と引き止めてくれたんです。

 

誰からも必要とされていないと思っていたわたしにはとてもうれしい申し出でした。つらいけどもうちょっと踏ん張って、この会社で認められたい。為になりたい。そう思い、すぐにアパートを更新することを決めました。

 

ずっと正社員には憧れていました。だけどこんな年だし、MtFの就職活動って大変そうとアルバイトから抜け出せずにいました。そんなわたしを拾ってくれました。ブラックじゃない。同僚はみんないい人たち。そして、わたしのことをとても自然に受け入れてくれている。そんな素敵な会社で、わたしは社員になれたんです。こんなラッキーなことってない。

 

お給料が増えるので、夜の仕事も減らせます。体力的にも金銭的にも楽になるでしょう。そのお金と時間で食べたいもの食べて、おしゃれもたくさんして、遊びに行きたいところに遊びに行くんです。わたしの人生、これからまた始まるんです。どんなことが起きて、どんな人と出会うんでしょう。幸せになれる気しかしない。明日も明後日も、すごくすごく楽しみです。わたしをそんな風にしてくれた、たくさんの人たちに、わたしは心から感謝しています。

 

×××

ぺけ